こんにちは、よたろうです。
今回は鎌倉市にある、源実朝歌碑を紹介します。
データ
- 名称:源実朝歌碑
- 訪問日:令和4年12月10日
小倉百人一首に選ばれた源実朝の歌碑
国道134号線沿いの鎌倉海浜公園に、歌人としても知られている鎌倉幕府第三代将軍(鎌倉殿)・源実朝の歌碑があります。
歌碑には小倉百人一首の第93番に選ばれた実朝の歌が刻まれています。
世の中は つねにもがもな なぎさこぐ
あまの小舟の 綱手かなしも
浜の漁師たちの日常の暮らしぶりを見ながら、世の中がいつまでも変わらずにあってほしい……そんな実朝の願いを読んだ歌と言われています。
特徴的な形の歌碑は、台座が船を、歌の刻まれた石碑の部分が帆を表していますが、なぜ船の形をしているかというと、かつて実朝がこの由比ガ浜で大船を建造し宋の国(当時の中国)に渡ろうとしていたことに由来しています。
焼失した東大寺の大仏の鋳造と大仏殿の再建に尽力した南宗出身の工人・陳和卿(ちんなけい)に建造を依頼したこの大船は建保5年(1217年)に完成し、由比ガ浜で進水に臨むも船は海に浮かばず、実朝の渡宋の計画は頓挫してしまいますが……この歌に込められた思いのように、平和な土地を求めて権謀術数渦巻く鎌倉を離れたかったのかもしれませんね。
ちなみに、この辺り(鎌倉市坂ノ下)のマンホールの蓋には、代表的な源氏の家紋である笹竜胆(ささりんどう)がデザインされています。
近隣の海岸には漁師や釣り船を生業としている方々が多く、源実朝が平和を願って歌を詠んだ風景が今でも残っているなど、由比ガ浜周辺は御所跡や鶴岡八幡宮よりも「源実朝ゆかりの地」としてより相応しい場所と言えるかもしれません。